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Sさんご夫妻

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Sさんご夫妻

移住年月:平成23年3月

出身地:鹿児島県薩摩川内市

移住スタイル:Iターン

移住のきっかけ

私は仕事の都合で、甑島(鹿児島県薩摩川内市)に住んでいましたが、還暦を迎える頃にどこかへ移住したいと考えるようになりました。

5年ほど前にキャンピングカーを購入し、夫婦2人で日本各地を周りましたがピンとくる場所に巡りあえませんでした。

ある時、北海道に嫁いだ娘から北海道での生活を提案され、2人もそうしようと思い甑島から九州へと移動しました。 

 ただ、雪の季節でしたので、北海道への移動は困難と思い、桜前線とともに北へ向かうと娘に伝え、雪解けまでの期間を九州で滞在することにしました。

そんな折りに出身地である三角(熊本県宇城市)で親戚の法要があったので、足を伸ばして天草を隅々まで車で走り回りました。そんな時、とある港で魚釣りをしているグループがいたので、どんな魚が釣れるのか見に行きました。 

 魚釣りを見学した後、車へ戻ろうと振り返ると、洗濯物を取り込むおばあさんと「売り物件」という看板が付けられた一軒家が目に入りました。2人ともその家が気になり、おばあさんへお願いし建物の内部を見せていただきました。

 広い住居部分に、屋根付きの作業倉庫、目の前が港で、車を停めるスペースも豊富にあるという様々な条件が私たちにピッタリでした。 

 売却の代金も予算の範囲内でしたので、即購入を決意しました。北海道での住居や駐車場などを準備してくれていた娘には大変怒られましたが、夫婦2人の今後の生活にピッタリの場所、物件を見つけたと話すと理解してくれました。


移住後のくらし

今度は夫婦で生活の基盤を作ろうと計画をたてました。まずは広い住居部分を活用した民宿経営、そして港が目の前という立地を活かした遊漁船業です。まずは民宿経営のために保健所へ相談に行きました。

 結果、許可の取得は難しいとのこと。2人の夢がいきなり破れた気がして、半ば諦めていました。しかし、地元の広報紙で農家民宿を開業したい人が募集されていました。天草市の支援によって、農家民宿の開業に必要な図面や書類の作成、申請手数料の補助などを受けることができました。自分たちの負担はほとんどなく、農家民宿開業の許可を取得できました。

遊漁船業の方はと言うと、移住直後にたまたま小さな船を譲り受けていたので、その船を遊漁船業登録して細々ながらも営んでいました。

農家民宿を開業するにあたり、より多くのお客様を受け入れたいと考え船を大きくしたいと思うようになりました。幸運にも船を手放す漁師さんが近くにいらっしゃったので、その船を購入し遊漁船登録も大きな船へと変更しました。

現在では遊漁船と宿泊を組み合わせた経営をしながら夫婦2人で生活しています。  遊漁船もお客がお客を呼んでくれて、今では乗り合わせをお願いするくらいにまでなりました。  乗り合わせたお客様同士が仲良くなり、次回から一緒に来られることもあります。

娘の所に行く計画が、天草の魅力に引き寄せられて今の生活へと至りました。 人生、計画通りにいかないことも楽しみと思えるようになりました。人生の中でも忙しい日々ですが、最も充実した生活を送っています。


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